MENU

相続放棄後の管理責任は無くなった?相続放棄後も空き家や山林は管理したくない【弁護士が徹底解説】

この記事を書いた人

弁護士 荒井達也

群馬弁護士会所属。負動産問題に注力する弁護士。読売新聞などの全国紙からの取材対応や専門書の出版等を通じて相続土地国庫帰属制度や負動産の処分方法を解説している。

詳細はこちら→プロフィール詳細

目次

相続放棄しても管理責任が残る?相続放棄者の管理義務・責任(民法940条)の法改正

相続放棄をしても管理責任が残る?

民法の中にある、とある条文がきっかけで、こういった疑問を持つ方が増えてきました。

実際、日経新聞の記事によると、一部の自治体が相続放棄者に管理責任を追及するケースがあると指摘されています(日経新聞電子版2016年1月27日3:30「相続放棄でもなお管理責任」参照)。

しかし、相続放棄後の管理義務に関するルールは、2021年(令和3年)に改正されました。

この改正により、相続放棄をした方の管理義務に関するルールが限定的になり、以前よりも明確になりました。

相続放棄をしようと思っても、管理責任が残ると聞いて、相続放棄をすべきか不安な方は是非ご覧ください。

なお、相続放棄は、優良な資産を含め全て相続できなくなる制度ですが、相続したくない土地だけを手放すことができる『相続土地国庫帰属制度』が2023年4月からスタートしています。

『相続土地国庫帰属制度』については、次の記事をご参照ください。

なお、当サイトでは、不要な土地を手放したい方向けに無料相談(初回30分)を受け付けていますので、お気軽にお申し込みください。

ただし、無料相談は予告なく終了することがありますので、その点はあらかじめご容赦ください。

\いつでも解除可能!全国どこでもOK!夜間土曜も対応/

動画で学びたい方向け

【法改正】相続放棄者の管理義務の明確化

令和3年の法改正で、相続放棄者の管理義務・責任が明確化されました。

すなわち、相続放棄者は、

  • 相続の放棄の時に現に占有している相続財産につき、
  • 相続人(法定相続人全員が放棄した場合は、相続財産の清算人)に対して当該財産を引き渡すまでの間、
  • その財産を自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならない

とされました(改正後民法940条1項) 。

【参考】改正後民法940条1項

(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない

例えば、亡くなった方の配偶者とお子さんが相続放棄を行い、たまたま相続人になったご兄弟の方やそのお子さん(姪・甥)は、亡くなった方が所有する建物に実際に居住するなどしておらず、「放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有」していなければ、相続放棄を行っても改正後民法940条1項の義務を負わないことになりました。

他方で、空き家を相続した場合は判断が難しいといえます。

相続放棄をした方が全く空き家の管理に携わっていなければよいですが、お盆や年末などに帰省して空き家の手入れ等をした場合、「現に占有」とみなされる可能性は否定できません。

この点について、私の方で、法務省の担当者に確認もしましたが、法務省の担当者も「一概には言えない、ケースバイケースだ」とのことです。

そのため、相続放棄をする際は、管理責任の問題を含め、必ず弁護士等の法律専門家に相談してください。

「現に占有」が認められる場合

相続放棄を行う場合に、その方が「現に占有」していると認められると、その財産に対する管理義務が発生します。

具体的には、次のような義務を負います。

  • 相続人(法定相続人全員が放棄した場合は、相続財産の清算人)に対して当該財産を引き渡すまでの間、その財産を自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならないとされています。
  • また、管理する物が家などの土地の工作物の場合は、対外的にも重い責任を負います(民法717条・工作物責任)。

とりわけ、後者の工作物責任は裁判になった場合に勝訴することが難しい責任でもあるため、懸念がある方は、弁護士等の法律専門家に必ず相談してください。

改正前(令和5年4月1日前)の相続はどうなる?

改正前(令和5年4月1日前)のルール

なお、この法改正は、令和5年4月1日から施行されています。

改正前は、どのような内容だったでしょうか?

改正前民法では、相続の放棄をした者は、相続財産の管理を継続しなければならないとされていました(改正前民法940条1項)。

【参考】改正前民法940条1項

(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

この条文を見ても、管理義務の発生要件や内容がよくわかりません。

そのため、相続の放棄をしたのに過剰な負担を強いられるケースもあると指摘されていました。

もっとも、国が出した通達によると、相続放棄者は、改正前民法940 条により相続財産である空家を管理する義務を負うが、この義務は後に相続人となる者等に対する義務であり、地域住民などの第三者に対する義務ではないとされています(国土交通省住宅局住宅総合整備課及び総務省地域創造グループ地域振興室平成27年12月25日付け事務連絡)。

改正法施行後は、改正法が適用(改正民法940条の経過措置)

改正民法940条の経過措置は、特にありません。

改正前に発生した相続や改正前に行った相続放棄に新法が適用されます。

この点について、法務省の立案担当者は、「施行日以後は、既に生じている権利関係にも新民法を適用することが必要であり、また、その改正内容に照 らして適当であると考えられる。」(村松秀樹=大谷太「Q&A改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法」388頁参照)

おわりに

いかがでしたか?今回は2021年(令和3年)の民法改正により改正されることになった 相続放棄者の管理義務・責任の見直しのポイントを解説しました。

なお、当サイトでは、不要な土地を手放したい方向けに無料相談(初回30分)を受け付けていますので、お気軽にお申し込みください。

ただし、無料相談は予告なく終了することがありますので、その点はあらかじめご容赦ください。

\いつでも解除可能!全国どこでもOK!夜間土曜も対応/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次