
弁護士 荒井達也
日本弁護士連合会の専門チームのメンバーとして国庫帰属制度の制定に関与。読売新聞や日本経済新聞などの全国紙からの取材対応や専門書の出版等を通じて国庫帰属制度や負動産の処分方法を発信。セミナー講師を多数務める。
絶対に見落としたくない!相続土地国庫帰属制度の真実とは?
「親から不要な土地を相続したので、相続土地国庫帰属制度に興味がある。」
「でも、法律や不動産の専門知識が多数出てきて、理解が難しい」
この記事の対象者は、こういった国庫帰属制度の利用を希望する方(主に団塊世代の方)です。
これら団塊世代の方々に向けて、相続土地国庫帰属制度のポイントや実際のところを弁護士が丁寧に解説します。
なお、この制度は前例のない制度です。
成功事例や失敗事例などの制度の実情に関する情報収集が必要不可欠です。
当サイトでは、国庫帰属制度について既に50件以上のご相談を承っております。
もちろん、失敗するケースや問題になりやすい点等も把握しています。
これらの情報も惜しみなく発信します。
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相続土地国庫帰属制度は前例のない制度!制度開始後の運用状況や成功事例の情報収集が重要
相続土地国庫帰属制度(国庫帰属制度)とは?
まず、前提知識として、相続土地国庫帰属制度について確認しておきましょう。
相続土地国庫帰属制度とは、令和3年に出来た「相続した不要な土地を国に返す制度」のことです。
端的に「国庫帰属制度」と呼ばれることもあります。
そして、相続土地国庫帰属制度を定めた法律が相続土地国庫帰属法です。
法律の正式名称は、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」です。
相続土地国庫帰属制度のメリットとデメリットは?
相続土地国庫帰属制度の最大のメリットは、引き取り手が国だから安心できる!という点です。
いらない土地を手放す際に、最も大変な点が「信頼できる引き取り手を探すこと」です。
不要な土地は、不動産会社に相談しても門前払いされます。
対して、相続土地国庫帰属制度では、国が引取ります。
つまり、国庫帰属制度では自分で引き取り手を探す必要がないのです。
最近増えている負動産所有者を狙った詐欺業者に騙される心配もありません。
(なお、国はこれらの詐欺業者を十分に取り締まれていないのが現状です。)
また、引取後は国有地として適切に管理されます。
そのため、近隣からのクレームも心配ありません。
この引取手が国だから安心できるという点が相続土地国庫帰属制度の最大のメリットです。
他方で、デメリットとして、国の審査に合格できるよう土地を整備する必要がある点が挙げられます。
また、国に返還する際に負担金(原則20万円)を納付する必要がある点もデメリットです。
また、国の手続には時間も掛かります。
現状、審査期間に半年から1年掛かると言われています。
もっとも、どのデメリットも本当に問題でしょうか。
例えば、「負動産を1年以内に絶対手放す必要がある!」という方は多くないと思います。
また、負動産を放置すると、固定資産税や草刈りの費用などでお金が掛かります。
将来、相続が発生すれば、相続登記(不動産の名義変更)も必要になり、10万円以上のお金が掛かることもあります。
そう考えると、期間や費用の問題も必ずしも問題ではありません。
お金や時間を多少掛けても、子どもたちに迷惑を掛けたくない方には国庫帰属制度がオススメです。
なお、国庫帰属制度のメリットやデメリットの詳細は、次の記事で解説しています。
お金や時間が掛かるというデメリットはあるものの、引取手が国であり安心できるというのが大きなメリット
いつから?相続土地国庫帰属制度開始は2023年4月27日から!
相続土地国庫帰属制度の施行日(制度開始日)は、2023年4月27日からです。
よくある質問として、制度開始前に相続した土地は対象か?という質問があります。
結論は可能です。
10年前、20年前、50年前に相続しても申請可能です。
50年前に相続した土地も制度を利用できる!
相続土地国庫帰属制度の要件(利用条件)
相続土地国庫帰属制度には3つ利用条件があります。
- ヒトの条件…どういう方であれば利用ができるか?
- モノの条件…どういう土地であれば引取が認められるか?
- カネの要件…どれくらいのお金が引取の際に必要か?
ヒトの条件(利用資格)
制度が利用できるのは、相続や遺言で土地を取得した相続人の方です。
土地を購入した方は対象にはなりません。
具体的には、原野商法の被害者や売れない別荘地を購入した方は申請資格がありません。
原野商法の被害に遭った方は、「売買」で土地を取得しているため、利用資格を満たさないのです。
別荘地の購入者も同様です。
ただし、原野商法の被害に遭った方や別荘購入者が亡くなり、相続が発生した場合は、その相続人の方に利用資格が認められます。
相続人の方は、相続で原野や別荘地を取得した相続人だからです。
したがって、「原野商法でだまされて買った土地だから」「別荘地だから…」という理由で諦める必要はありません。
また、注意が必要な点として、相続人の方でも、生前贈与や家族信託(生前に隠居する形で財産を子どもに譲る制度)を受けた方は対象外です。
生前贈与や家族信託は、「相続」ではないからです。
(心配がある方は、土地の登記簿を見てください。自分の名前の上にある、「原因」欄に「●年●月●日相続」と書いてあればOKです。)
最近は、終活が大事だと言われます。
しかし、終活の一環でいらない土地を生前贈与してしまうとお子さんはこの制度が利用できなくなります。
注意してください。
遺言や生前贈与などの生前対策を検討する際は、負動産の取扱いに要注意!
モノの条件(対象となる土地)
制度が利用できる土地は、国の審査に合格した土地です。
国の審査基準では、次のような土地が不合格になります。
門前払いされる土地
- 建物がある土地(更地しないとダメ!)
- 担保に入っている土地、貸している土地
- 地元の方が利用している土地(通路、墓地、境内地、水路等)
- 土壌汚染がある土地
- 境界が不明確な土地等

事案ごとに判断される土地
- 崖地
- 残置物(例:放置自動車、果樹や竹等)がある土地
- ゴミ等が埋まっている土地
- 公道までの通路がない土地等
- その他(災害・獣害危険区域、賦課金が必要な土地改良区等)
なお、これらの土地は、事案ごとに審査されます。
そのため、いずれかに該当する場合でも管理や売却に支障がなければ、審査に合格します。

法律専門家の中には「審査基準が厳しく、審査に合格する土地はない」と言う方がいます。
しかし、これは間違いです。
一つ一つ整理していけば、意外と審査を合格できる土地も十分にあります。
あきらめず、どうやったら審査に合格するか?という視点を持って不動産に向き合ってください。
なお、制度開始後の実際の運用については、順次、当サイトでも紹介させていただきます。
これらの情報を見落としたくない方は当サイトのLINE公式アカウントを登録してください!
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なお、審査基準の詳細は次の記事で解説していますので興味がある方はご参照ください。
すぐ諦めるのではなく、国庫帰属制度の審査基準に合格するためには何が必要か?という視点が大事
山林や農地(田畑)を相続土地国庫帰属制度で国に返せる?
なお、よくある質問として、「山林や農地(田・畑)でも使えるの?」というご質問をいただきます。
いずれも利用可能です。
もっとも、山林や農地の場合、特有の留意点がありますので、この点は次の記事をご参照ください。
【Q&A】なぜ山林を相続土地国庫帰属制度で手放すことが難しいと言われるのか?
【Q&A】相続土地国庫帰属法を使うなら農地がオススメ?弁護士が解説
山林や農地も相続土地国庫帰属制度の対象!
相続土地国庫帰属法は原野商法の救世主?
最近、相続した原野を手放したいという相談が非常に増えています。
原野商法の被害にあった方のお子さん達がちょうど相続問題に直面しているためです。
このような方にとって相続土地国庫帰属制度は救世主になるのでしょうか?
私見ですが、相続土地国庫帰属制度は原野商法の救世主になりうる制度だと考えています。
この点は次の記事で詳細に解説していますのでご興味がある方はご覧ください。

相続土地国庫帰属制度は原野商法の被害にあった土地の救世主になり得る!
別荘地は相続土地国庫帰属法で手放せる?
親世代が購入した使わない別荘地を相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらうことは可能でしょうか?
結論としては、可能です。
ただし、注意点が主に3点あります。
- 建物が解体され、更地になっていること
- 管理費の清算について管理会社ともめないこと
これらに問題があると、国の審査に合格できない可能性が高まります。
気になる方はご自身の物件を一度確認してみください。
別荘地について制度利用を検討する際は、建物の有無や管理費の清算が可能かに要注意!
カネの条件(手数料・負担金)――相続土地国庫帰属制度の費用
相続土地国庫帰属制度の利用にあたっては、次の3つのお金が必要です。
- 審査手数料
- 負担金
- 専門家報酬(依頼する場合のみ)
①審査手数料
まず、①審査手数料については、1筆1万4千円です(土地は1筆2筆と数えます。)。
申請書に収入印紙を貼って納付します。
収入印紙は郵便局で購入可能です。
なお、納付後は、審査手数料は返還されません。注意してください。
申請を取り下げた場合や、審査が不合格になった場合も返還されません。
審査手数料自体は、低額に抑えられていますが、筆数(土地の数)が多くなると費用も馬鹿になりません。
その場合は、合筆の手続を行って、筆数をまとめることも検討してみてください。
審査手数料は筆数が多くなると高額になる場合もあるので、その場合は合筆を検討
②負担金
また、審査に合格した際は、10年分の管理費用を『負担金』という形で納める必要があります。
具体的には、原則20万円としつつ、①宅地、②農地、③山林については、面積に応じて負担金が変動することになっています。
例えば・・・
- 住宅地の宅地の場合…200㎡で793,000円
- 優良農地等の場合…200㎡で450,000円
- 山林の場合…200㎡で221,800円
となります。
より具体的な金額を知りたい方向けに、次の記事で詳細を解説していますので、こちらも必ず読んでください。

住宅地の宅地や優良農地は、負担金が高額になる場合もあるので要注意!
③専門家報酬(依頼する場合のみ)
相場はまだありませんが、数十万円程度は掛かると思っておいたほうがよいでしょう。
また、審査に落ちた場合でも支払が必要になることが一般的です。
気になる方はその点も確認しましょう。
なお、当サイトでは成功報酬型のプランも用意しています。
気になる方はLINE登録のうえでお問い合わせください。
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専門家報酬は審査不合格の場合も支払いが必要。依頼する場合、成功報酬型のプランの有無も要チェック。
なぜ利用条件があるの?――税金で管理するため
このように「ヒト」「モノ」「カネ」の観点から様々な条件が付されたのは、なぜでしょうか?
それは、国が引き取った土地は税金で管理するからです。
つまり、無条件に土地を引き取ると財政負担が重くなるため、審査基準があるのです。
また、国が無条件に土地を引き取ると、土地所有者が「どうせ国が引き取ってくれるなら、管理は適当でいいや」と土地の管理をおろそかにする可能性があります(モラルハザードといいます。)。
このような理由により、先に述べた様々な利用条件が定められることになりました。
先祖から引き継いだ土地ですから、国に返す際はキレイにして返しましょうということです。
手続:①申請→②審査→③合否通知
法務省によると、審査には半年から1年ほどの期間が掛かるといわれています。
どういった手続の流れになるかを以下で解説します。
申請:窓口は法務局!
まず、制度の利用希望者は申立手数料を支払った上で、申立てを行う必要があります。
申請窓口は、法務局です。市役所ではありませんので、ご注意ください。
法務局がピンとこない方は、次の記事で詳細を解説していますのでこちらをご覧ください。
申請に必要な書類は?
申請にあたっては、所定の申請書の提出が必要です。

また、申請書に加え、次の書類が必要になります。
- 印鑑証明書
- 公図(法務局で取得可)
- 現地写真
- お隣との境界がわかる写真
特に、③④は現地に行って写真を撮る必要があるため要注意です。
現地に行ったことがない方は専門業者などにお願いする必要があります。
当サイトでは、全国各地の専門家へ協力依頼をできる体制を構築していますので、お気軽にお問い合わせください。
申請前に現地調査が必要になることも!現地調査を依頼する業者も要検討
詳細は次の記事で解説していますので関心がある方はご覧ください。

これらの必要書類をどうやって作成すれば、審査に通りやすいか?等、制度開始後の実際の運用については、順次、当サイトでも紹介させていただきます。
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相続土地国庫帰属制度の相談が可能な専門家は弁護士?司法書士?
一般の方にとって、相続土地国庫帰属制度の申請は、かなり難しいものです。
専門的な法律知識が必要になる場合が多いです。
集める資料も一般の方が耳慣れないものばかりです。
こういった場合、相談相手は弁護士がよいでしょうか?
私見ですが、前例のない制度ですので、難しいところはありますが、宅建業法の資格を持っている弁護士や行政書士資格や司法書士資格を持っている土地家屋調査士に相談することをおすすめします。
>相続土地国庫帰属制度の相談相手は弁護士?司法書士?無料相談は可能?
なお、当サイトを運営する弁護士荒井達也もご依頼を承っております。
相談実績は、すでに50件を超えております。
相談できる専門家に心当たりがない方はお気軽にご相談いただけますと幸いです。
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制度開始直後に申請した方がお得?
相続土地国庫帰属制度は制度開始直後に申請した方がよいです。
将来、審査が厳格化される可能性があるからです。
理由は次の記事で詳しく解説しています。
【Q&A】相続土地国庫帰属制度は開始直後に申請した方がよい?
この制度を利用して少しでも早く土地を手放したいという方は今から準備を始めておくことをおすすめします。
将来、審査基準が厳格化する可能性あり!善は急げの精神で検討することが大事!
審査:現地に職員が来ます!
次に、申請窓口となる法務局にて制度の利用条件を満たしているかの審査を行います。
まず、書面審査を行います。
不備があれば、訂正を指示されます。
また、関連する役所にも照会を掛けます。
ブラックリストに該当する点がないかを確認するためです。
お隣さんにも手紙を送り、境界に疑義がないかも確認します。
お隣さんとしては、役所から手紙が来ると、びっくりします。
申請前にご連絡しておくことがベターです。
(なお、当サイトの弁護士に依頼する場合は、弁護士にて対応いたします。)
書面審査後に、法務局の職員が、実際に現地に行って調査を行います。
なお、当サイトでは、50件以上の相談実績があります。
調査時の失敗例や問題点も把握しています。
この点は、当サイトでも惜しみなく解説します。
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合否通知(承認):ここで負担金の納付が必要になります。
審査が完了し、要件充足が認められた場合、国への名義変更が許可されます。
これを『承認』といい、申請者に書面で通知されます。
この通知書には、先ほど説明した負担金の額も記載されています。
そして、負担金を納めたところで、正式に土地が国に移ることになります。
もし、負担金が思ったよりも高いと感じた場合は、負担金を支払わなければ、国には帰属しません。
負担金が思ったよりも高ければ、見送りも可能!
なお、手続の詳細は、次の記事で解説していますので興味がある方はご参照ください。
よくある質問
- 相続土地国庫帰属制度開始前に相続した土地も対象ですか?
-
対象です。
- 相続登記をしていません。このような土地も申請できますか。
-
可能です。国が相続登記を代わりに行います。ただ、その関係で相続登記に要する書類(戸籍等)を提出する必要があります。
- 期限は3か月と聞いたけど違うのですか?
-
相続から何十年経っていても、この制度は利用できます。相続放棄と呼ばれる制度には、自分が相続人になったことを知ってから3か月という期限があります。他方で、相続土地国庫帰属制度にはそのような期限はありません。
- 傾斜のある果樹園は引取の対象になりますか?
-
慎重な検討が必要です。果樹園はものによって傾斜にあることがあると思いますが、その場合、勾配が30度以上であり、かつ、その高さが5メートル以上であると引取不可とされる可能性が高まります。また、果樹があると、管理が困難と国に判断される可能性がありますが、果樹の状況はいかがでしょうか。特に獣害の危険があると引取が難しくなります。ご自身が相続された土地をご確認ください。
- 境界の目印として、どのようなものが必要ですか?
-
紅白ポール、プレートなどでOKです。ただし、国の審査や引取後に国有地として管理する関係で一時的なものではダメです。
- 大正時代の古い抵当権(債務は数円)があるのですが、引取可能ですか?
-
引取不可です。弁護士や司法書士に抵当権の抹消を依頼してください。
- 山が10筆あります。負担金はいくらになりますか?
-
人の手が入っておらず、雑草等が生えているにすぎない原野と呼ばれる土地の場合、1筆20万円となり、10筆だと200万円となります。ただ、土地が隣接していれば、まとめて申請ができ、その場合の負担金はまとめて20万円となります。他方で、雑草だけではなく、樹木等がある場合は、山林となり、面積に応じて負担金が決まります。具体的な算定基準は以下のとおりです。隣接していれば合算申請ができる点は原野と同じです。
- 田んぼが100坪あります。負担金はいくらですか?
-
負担金は原則20万円ですが、次のいずれかの農地については、100坪(≒330㎡)で578,992円になります。
- 都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域内の農地
- 農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域内の農地
- 土地改良事業等の施行区域内の農地
- 相続した市街化調整区域の農地(田んぼ、畑)も対象なのでしょうか?
-
対象になります。もちろん、他の審査基準に引っかかり不合格となった場合は、引取が認められないこともあります。
- 境界が不明確だと引取不可と聞きましたが、専門家に測量をお願いしないといけないのですか?
-
いいえ。測量は必須ではありません。境界の場所を写真で撮影し、お隣さんや国から疑義が出なければ、審査に合格できる可能性があります。
- 制度を利用する際に、準備しておくとよい物・資料はありますか?
-
登記簿、公図、地積測量図等です。現地の写真も必要になりますが、それは専門家に相談しながら作成することが望ましいです。
- 10年分の管理費を負担金として支払った後に追加のお金を徴収されることはありますか?
-
ありません。負担金の納付により、所有権が国に移りますので、その後は国が税金で管理することになります。
- 国の審査にどの程度の期間が掛かりますか?
-
制度を所管する法務省民事局によると、制度開始からしばらくの間は、承認申請の受付後、半年~1年程度の期間が掛かるものと思われます。本制度が過去に例のない新しい制度であり、制度開始当初は調査に時間を要する可能性があるからです。
- 承認申請中に売却先が見つかりました。どうすればよいですか。
-
売却前に申請書を提出した法務局に連絡をして、申請の取下げをしてください。なお、この場合も審査手数料は帰ってきませんのでご注意ください。
- 国から、審査に引っかかる物・事情があると言われた場合、どうすればよいですか?
-
問題になっている物や事情を取り除くことで、引き続き審査をお願いすることができます。ただし、相当の期間までに状況が改善しない場合は引き取ることはできませんのでご注意ください。
- 申請者は、法務局が行う実地調査に同行する必要がありますか。
-
原則として不要です。申請土地の所在位置に疑義がある場合や境界の場所に疑義がある場合は、法務局から同行の依頼があります。その際、同行のための費用はご自身で負担いただくことになります。正当な理由がなく同行を拒否した場合は、承認申請が却下されますのでご注意ください。
- 実地調査への同行を求められた場合、第三者に依頼することは可能ですか?
-
事情をよく知る家族や専門家(弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士)に依頼することができます。
- 10年分の管理費を負担金として支払ってから1年後に、国が土地を売却した場合、9年分の負担金は返ってきますか?
-
返ってきません。
- 法律や不動産に詳しくないのですが、自分でも申請できますか?
-
可能ですが、大変だと思います。民法、不動産登記法、農地法、農振法、土地改良法、土壌汚染対策法をはじめ法律や不動産に関する専門知識が関係してくるため、これらの知識がないと審査基準や手続で間違ってしまうリスクが高いです。当サイトでは、無料相談を受け付けていますのでご不安があればご相談ください。
- 国の審査に合格しなかった土地などを引き取るという業者がいるのですが、信用してもよいですか?
-
中には真面目に営業している会社さんもいますが、詐欺業者もいますので、細心の注意を払ってください。
もっと詳しく知りたい

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相続土地国庫帰属制度の解説動画
なぜ相続土地国庫帰属制度ができたの?法律の目的!
これまでは、いらない土地を相続した場合でも、その土地だけを手放すことはできませんでした。
その結果、不要な土地が放置され、所有者が分からなくなる等の問題が生じていました。
そこで、相続等で取得した不要な土地を国に返すことができる制度として相続土地国庫帰属制度が創設されました。
すなわち、所有者が分からなくなる等の問題が生じる前に国で土地を引き取ってしまおうというのが相続土地国庫帰属法の目的です。
よくある誤解①この制度は土地や建物を国に寄付できる新制度なの?
なお、相続土地国庫帰属制度のことを「土地や建物を国に寄付できる新制度」と理解されている方がいらっしゃいますが、違います。
まず、「建物」については国は引き取りません。
また、「寄付」という点も異なります。
「寄付」は、一般的に手放す側と引き取る側の間の契約(贈与契約)により行います。
相続土地国庫帰属制度は国と契約を結ぶのではなく、国の判断で土地を引き取るという制度です。
よくある誤解②この制度は土地を自治体へ寄贈することで必ず引き取ってもらえる制度なの?
土地を手放したい方は、「無料でよいから、土地を自治体に寄付したい」とおっしゃります。
もっとも、自治体が寄付を受け付けるのは例外的な場合です。
例えば、公共事業の予定地や公共道路として既に利用されている土地です。
ただ、こういった寄付への根強い要望があることもあります。
そこから、相続土地国庫帰属制度のことを、土地を自治体に寄付することができる制度(しかも自治体が必ず引き取ってくれる制度)と誤解する方がいらっしゃいます。
しかし、相続土地国庫帰属制度は、引渡し先が国であり、また、引取りの対象は審査に合格した土地です。
そのため、相続土地国庫帰属制度は、土地を自治体へ寄贈することができる制度で、しかも自治体に必ず引き取ってもらえる制度ではありません。
相続土地国庫帰属制度と相続放棄・土地所有権放棄等との違い
相続土地国庫帰属制度は、相続放棄、相続税の物納制度、土地所有権の放棄などに近いところがありますが、これらにはない、次のような特徴があります。
- いらない土地・希望した土地だけを国に引き取ってもらえる。
- 相続税が発生しない場合でも利用できる。
- 国の審査を受ける必要がある。
これまでの制度との違いについては次の記事で解説していますので興味がある方はご参照ください。
【何が違う?】相続土地国庫帰属制度と土地所有権の放棄等の隣接制度の違い
相続土地国庫帰属法の条文を見たい!
相続土地国庫帰属法の詳しい条文は、法務省のサイトやe-GOV法令検索のサイトで閲覧できます。
政令(相続土地国庫帰属法施行令)とパブリックコメントを見たい!
国庫帰属が認められない土地の詳細や負担金の算定方法を定める政令(相続土地国庫帰属施行令)が令和4年9月29日に公布されました。
条文は法務省のサイトから閲覧できます。
なお、この政令とこの政令に対するパブリックコメントの結果については、こちらの記事で解説しています。
お知らせ
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そんな方のために、弁護士がLINEによる無料相談を受け付けています(初回30分無料)。
ご相談はこの記事の内容以外のことでも大丈夫です!
ただし、無料相談は予告なく終了することがあります。
\いつでも解除可能!全国どこでもOK!土日夜間対応!/
専用フォームから問い合わせ
電話相談
なお、こちらの番号にお電話いただき、「使わない土地の相談がしたい」とお申し付けいただければ、電話による相談も可能です。なお、無料で対応できない場合もありますのでご容赦ください。
※月~金 10:00-17:00まで(不在時は折り返します)
弁護士 荒井達也
群馬弁護士会所属。負動産問題に注力する弁護士。読売新聞などの全国紙からの取材対応や専門書の出版等を通じて相続土地国庫帰属制度や負動産の処分方法を解説している。
詳細はこちら→プロフィール詳細

参考文献
法務省民事局「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」
法務省民事局「相続土地国庫帰属制度について」
村松秀樹他「Q&A令和3年改正民法 改正不登法 相続土地国庫帰属法」(きんざい)
荒井達也「Q&A令和3年民法・不動産登記法改正の要点と実務への影響」(日本加除出版)
余談――相続土地国庫貴族法?相続土地国家帰属法?
相続土地国庫帰属法は、言葉としても非常にわかりにくいのですが、よくある間違いとして、相続土地国庫貴族法と言われたり、相続土地国家帰属法と言われたりすることがあります。
いずれも間違いですのでご注意ください。
もっとわかりやすい名称になるといいのですが、法律って無駄に難しいですよね。