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0円でも売れない土地を現地調査|相模原・藤野の「負動産」で分かったこと

「山林や農地を相続する予定だが、誰も使わない。手放したいけれど、そもそも売れるのか、国に引き取ってもらえるのか分からない」――こうした悩みは、登記簿や地図だけを見ても答えが出ないことがあります。

今回の動画では、弁護士の荒井達也と『限界ニュータウン』著者の吉川祐介さんが、神奈川県相模原市の藤野・旧津久井郡エリアを訪問。所有者の佐野さんとともに、畑、杉林、竹林、祖母の家を実際に歩き、土地ごとにどのような出口が考えられるかを検討しました。この記事では、現地で分かったことを土地別に整理します。

この記事の結論

  • 同じ家族が相続する土地でも、畑・山林・竹林・空き家では、適した処分方法が異なります。
  • 今回の畑は、隣接農家や農業委員会への相談を先に行い、難しければ相続土地国庫帰属制度を検討する余地がありました。
  • 杉林や竹林は、木の状態、接道、周辺住宅への影響、管理能力を確認し、責任を持って管理できる引受人を探す必要があります。
  • 「誰かに渡せれば終わり」ではありません。相手の管理能力、契約、名義変更まで確実に進めることが重要です。
弁護士 荒井達也

この記事の解説者:弁護士 荒井達也

荒井法律事務所代表、合同会社負動産の窓口代表社員。相続土地国庫帰属制度の制定に関わり、負動産・所有者不明土地・空き家問題に取り組んでいます。

荒井達也の詳しいプロフィール・実績

目次

相模原・藤野で確認した4種類の不動産

今回訪れたのは、藤野駅から車で山道を進んだ地域です。都心から比較的近く、移住者もいる一方、駅から離れると急峻な地形が続き、車がなければ生活しにくい場所もあります。

所有者の佐野さんが将来の処分を考えていたのは、祖母の家だけではありません。畑、道路沿いの杉林、竹林など、性質の異なる不動産が点在していました。

土地・建物 現地で分かった特徴 考えられる方向性
比較的平坦で隣接地は管理されているが、面積は小さい 隣接農家・農業委員会への相談、国庫帰属制度の検討
杉林 背の高い木があり、道路や住宅への影響が気になる 森林管理の必要性を確認し、譲渡または国庫帰属の可否を検討
竹林など 活用の余地はあるが、放置すれば周囲へ広がる可能性がある 目的を持ち、継続管理できる引受人を探す
祖母の家 建物の状態が比較的よく、都心からの距離にも利点がある 親族利用、売却、移住・別荘需要への譲渡を検討

小さな畑は「農地だから売れない」と決めつけない

最初に確認した畑は、一見すると家庭菜園にも使えそうな広さでした。ただし、登記上・現況上の農地を譲渡するには、農地法上の手続きが必要です。宅地のように、欲しい人へすぐ所有権を移せるわけではありません。

一方で、隣の畑は管理され、農業機械も入りそうな状況でした。こうした土地では、まず隣接地の所有者・耕作者に意向を聞くことが有力です。隣地と一体で使えるなら、小さな一筆だけを新たに取得する場合よりも、管理上の負担が小さい可能性があるからです。

まず農業委員会へ相談する

引受人の見当がつかない場合は、市町村の農業委員会に相談します。地域の農業事情を把握する農業委員を通じて、近隣で利用できる人が見つかる場合があります。

動画では、この畑について、固定資産税以外の水利費や土地改良区の賦課金がなければ、相続土地国庫帰属制度も検討しやすいのではないかと話しています。ただし、国庫帰属制度に進む前に、近隣で使える人へつなぐ方が、費用と手続の負担を抑えられる可能性があります。

農地の確認ポイント:隣接農家の意向、農業委員会の見解、水利費・土地改良区賦課金の有無、接道、境界、現在の耕作・管理状況を確認します。

杉林は「木がある」だけでなく周囲への影響を見る

現地で特に管理の難しさを感じたのが、背の高い杉が残る山林でした。山林は木が生えていること自体が問題なのではありません。しかし、道路や住宅の近くに高木がある場合、倒木や枝の落下が起きたときの影響を考える必要があります。

また、相続土地国庫帰属制度では、国が追加的に森林整備をしなければならない土地や、管理・処分に過分の費用・労力を要する土地は、承認されない可能性があります。今回の杉林も、接道して現地調査をしやすい点はあるものの、木の状態や森林管理の必要性を調べなければ結論は出せません。

もし法務局から伐採などを求められれば、費用が大きくなることもあります。そのため、国庫帰属制度だけに絞らず、山林を使いたい人への譲渡も並行して検討するのが現実的です。

竹林や山林の譲渡では「誰に渡すか」が重要

竹林や山林は、キャンプ、薪、里山管理などの目的で欲しい人が現れることがあります。所有者が「価値がない」と感じていても、別の使い方を考える人にとっては魅力があるかもしれません。

ただし、引受人が見つかればそれで終わりではありません。管理する意思や能力がない人へ渡すと、放置や近隣トラブルにつながり、譲渡後に紛争になるおそれがあります。動画でも、実際の難しさは「引受人がいるか」だけでなく、責任感のある人をどう選び、トラブルなく名義を移すかにあると指摘しています。

無償譲渡でも契約と登記は必要です。土地の状態、境界、管理上の問題を伝え、契約条件を整理したうえで、所有権移転登記まで完了したことを確認してください。

祖母の家は、土地とは別に活用可能性を考える

祖母の家は、現地で見る限り比較的状態がよく、都心から車で訪れられる距離にもありました。動画では、移住先や別荘を探す人から反響を得られる可能性があり、価格設定によっては引受人を選べるのではないかという見方も出ています。

家族の思い出があるため、すぐに処分すべきとは限りません。ただし、家族をつないでいた祖母がいなくなった後も、親族が本当に使い続けるのかは早めに話し合う必要があります。空き家になって年月がたち、雨漏りや基礎の劣化が進んでからでは、選択肢が狭くなります。

現地を歩くと、登記簿だけでは分からないことが見える

今回の現地確認では、土地のおおよその位置や境界が分かりにくいこと、斜面のきつさ、道路や住宅との距離、周囲の管理状況などが明らかになりました。これらは、登記簿の地目や面積だけでは十分に把握できません。

処分方法を考える前に、少なくとも次の事項を整理しておくと判断しやすくなります。

  • 登記名義人、地目、面積、取得原因
  • 公図・地図で見た位置と、現地のおおよその範囲
  • 道路から入れるか、誰かの土地を通る必要があるか
  • 近隣の利用状況と、隣接所有者・耕作者の意向
  • 樹木、竹、崖、残置物、建物などの状態
  • 固定資産税以外の管理費・水利費・賦課金の有無

土地ごとに「今よりよい管理」を実現する

人口が減る地域の土地について、すべてを国が持つ、すべてを民間で売買する、といった絶対的な正解はありません。大切なのは、今後誰がどのように管理するのかを土地ごとに考え、現在よりも適切に管理できる人や制度へつなぐことです。

今回の事例であれば、畑は近隣農家や国庫帰属制度、杉林・竹林は管理できる引受人や制度利用、祖母の家は親族利用または移住・別荘需要というように、同じ相続財産でも出口を分けて考えられます。

まとめ:動けるうちに現地を見て、出口を分けて考える

  • 農地、山林、竹林、空き家は、それぞれ処分のルールと有力な引受先が異なる
  • 農地は隣接農家・農業委員会への相談を先に行う
  • 山林は樹木、接道、周辺への危険、森林管理の必要性を確認する
  • 譲渡では引受人の管理能力、契約、所有権移転登記まで確認する
  • 家族が動けるうちに現地を見て、土地ごとに方針を決める

「全部まとめて何とかしたい」と考えると、問題が大きく見えます。まずは資料と現地を照合し、一筆ずつ選択肢を分けることが、負動産を次の世代へ残さないための第一歩です。

※本記事は動画内の現地調査と対談内容をもとに、一般的な情報として整理したものです。農地の譲渡や相続土地国庫帰属制度の可否は、土地の状況と関係機関の審査により異なります。

負動産の処分は「負動産の窓口」へ

合同会社負動産の窓口は、売却が難しい山林・農地・別荘地・空き家などの処分に特化しています。処分実績は200件以上・900筆超。農地の取扱実績も多数あります。

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