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【解決事例】地籍調査で判明した知らない相続土地を相続放棄で手放した事例

目次

はじめに

 近年、市役所から、地籍調査のお知らせを受け取る方が増えてきました。

 問題は、その対象地が全く知らない土地という場合です。

 全く知らない土地について、いつの間にか相続人になっているという方が増えてきました。

 今回は、そのような方が相続放棄制度を使って土地を手放したケースについて紹介します。

解決事例の概要

土地の情報島根県の山林・ため池
問題の経緯数年前より、市町村にて地籍調査が実施されていた。
その一環で、対象地の登記名義人の相続人調査も行われていた。
ある日、依頼者の母(山口県在住)に地籍調査の連絡がある。
しかし、母は既に認知症により判断能力なし。
まもなく、母の死亡し、依頼者が相続。
土地の状況もともと地元の村民(約20名)が共同所有していたところ、依頼者が相続人に。
不動産登記は表題部のみで土地の登記名義人については依頼者は知らない。
相続関係についても複雑で依頼者は相続関係者の多くを知らない。
解決方法相続放棄(数次相続でかつ再転相続という複雑な相続放棄)
・母からの相続は承認しつつ、登記名義人から相続は放棄するという複雑さもあり。
解決までの時間相談から2か月
解決費用収入印紙・切手代 合計2千円前後
弁護士費用 10万円前後

解決事例の詳細

依頼者の経験談

 今回の事例に直面した佐藤なつみさん(仮名)に本件の経験談をインタビューさせていただきました。

遠距離介護の日々

 私は、現在、関東に住んでいますが、実家のある山口の介護施設に入居し、認知症になっていた母を、妹と二人で、3週間か1か月かに1回、実家に帰り、遠距離介護をしていまいた(ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で面会拒否になり、なかなか帰れなくなりました。)。

見知らぬ自治体からの手紙

 そうしたところ、ある日、島根県のとある自治体――行ったことも聞いたこともない自治体です――から、山口の実家に母宛の手紙が来ていることに気づきました。

 手紙の中身を見ると、自治体で地籍調査という土地の調査を行っているが、土地の名義人の相続人に母がなっているため、この地籍調査を協力してくれと書いてありました。

 私は、土地の名義人のことは全く聞いたことがなかったし、なぜ母が立ち会う必要こともわからなかったため、とりあえず、最初は放置することにしました。

 ただ、その後も、何回か同じような手紙がきていたので、さすがに気になって周りの親族に聞いてみたのですが、「わからない」「ほっとけばいい」と言われるだけで、納得できる回答は得られませんでした。

自治体へ問い合わせ

 私は、一度気になったら、自分で納得するまで調べないと気が済まない性格だったこともあり、とりあえず、話を聞いてみようかということで、手紙の差出人になっている自治体に電話で問い合わせを行いました。

 そうして、自治体の担当者から、地籍調査とは何か?(※)、なぜ母が土地の名義人の相続人になっているかを大まかに聞くことができました。

 ※「地籍」とは、いわば「土地に関する戸籍」のことで、地籍調査とは、この地籍を、主に市町村が主体となって、ひとつずつ調査し、境界の位置や面積の測量などを行う調査のことです。豊臣秀吉が太閤検地という土地の調査を行っていましたが、誤解を恐れずにいうと、現代版の検地とご理解いただくとよいと思います。

判明した複雑な相続関係

 なお、後日、弁護士さんに相続関係を整理いただいたところ、次のような相続関係だったようです。自治体の担当者から説明を受けた時点では、なんとなくはわかりましたが、ここまで複雑だとは思いませんでした。

 

面倒な問題に巻き込まれた…

 私は、大学在学中に一般教養で法学を受講していたことから、「代襲相続」等の専門用語もなんとなくわかり、自治体の担当者が言うことは一応理解できました。

 そして、その自治体の担当者が言うには、母が叔母から代襲相続をして、土地を相続しているということを知らされたのですが、私自身は、その叔母については名前も知らなかったし、当然交流もありませんでした。母からも叔母の話は聞いたこともありません。

 ただ、聞けば聞くほど、どうやら面倒で迷惑な話に巻き込まれているということは理解できました。

弁護士に相談

 そこで、インターネットで「土地の相続放棄」ができないかと思い、調べ始めたところ、土地の相続問題に詳しい弁護士(荒井達也弁護士)が見つかったので相談することにしました。

 弁護士からは、相続関係が複雑なため、相続放棄ができるかもしれないということを聞かされたので、母にもし万が一のことがあったときに、改めて連絡しようと思いました。

母の急逝後に相続放棄を実施

 その後、母はしばらく元気でしたが、今年に入って体調を崩し、急逝しました。母の葬儀などが慌ただしく進み、少し落ち着いた頃に、島根の土地の件を思い出し、弁護士に改めて相談することにしました。

 ちなみに、なぜ私が島根の土地の件を気にかけていたかというと、私には、息子や孫もいて、自分が死ぬときに、きちんとしておかないと子どもたちに迷惑をかけると思ったからです。

 とりわけ、実家のある山口ですら地縁が薄まってきている中、地縁が全くない島根の土地は負の遺産として子どもたちに残したくないと思いました。そのため、私ができることは私が生きているうちにきちんと対応しておきたいなと考えました。

 弁護士さんに依頼すると、基本的には弁護士さんの方に手続を進めてもらうことができました。

 弁護士からは「複雑な相続関係がある中で、母から私への相続は承認しつつ、叔母から私への相続を放棄するという複雑な相続放棄の手続になるため、裁判所の見解等を見ながら進めていく必要がある、100%相続放棄が受理されるかわからないから、その点は理解してほしい」と言われていましたので、相続放棄が認められるかは最後まで不安でした。

 ただ、結果的に2か月ほどしたところで相続放棄の手続が完了し、裁判所から相続放棄を受理した旨の通知をいただき、大変安堵いたしまいた。

 これで見たこともない土地を息子たちに残さなくて済むと思うと、胸のつっかえが取れた気がしました。

最後に――今回の経験を踏まえて思うこと

 田舎に行くと、固定資産税を払って、使ってない土地・境界で争いがあって放っておく人が多いと思います。

 今回、この問題に対応して感じたことは、このような問題を自分で対応するには限界があるなということです。

 とりわけ、相続放棄については、どうしても3か月という期限があり、お葬式や相続の手続を同時並行でやっていく中で対応する必要があるため、専門家に任せるのがよいと思います。

 こういった相続関係の手続は、司法書士や弁護士など様々な専門家がいると思いますが、今回は、弁護士に頼んでよかったなと感じました。

弁護士による理論面の解説(作成中)

(作成中)

さいごに

 いかがでしたか?今回は相続放棄により不要な土地を手放した事例を解説させていただきました。

 もし、この記事が「わかりやすい」「勉強になった」と思った方はSNS等で共有していただけると大変うれしいです。

 なお、土地を手放す一般的な方法については、次の記事で解説しています。

 【2022年版】いらない土地をあげたい!不要な土地を賢く売る・手放す方法5選

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