相続で取得した山林を一定要件を満たせば国が引き取る制度ができた?
2021年4月、相続土地国庫帰属制度が創設され、相続で取得した山林を、一定要件のもとで国に引き取ってもらうことができるようになりました。
この制度は、2023年4月27日から利用できるようになる予定です。
もっとも、専門家は、『山林を相続土地国庫帰属制度で手放すのは難しい』といいます。
今回は、その理由と、本当に『山林を相続土地国庫帰属制度で手放すのは難しい』のか?について解説したいと思います。
なお、結論として、私は山林でも相続土地国庫帰属制度を諦める必要はないと考えています。
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本当に『山林を相続土地国庫帰属制度で手放すのは難しい』のか?
弁護士、司法書士、土地家屋調査士等の不動産の法律に詳しい方々は、
「相続土地国庫帰属制度で山林を手放すことは難しい」
と口をそろえていいます。
これはなぜでしょうか?
まず、前提として、相続土地国庫帰属法には国が引き取らない土地のリスト(ブラックリスト)がある点を押さえる必要があります。
このブラックリストに「山林」と記載されているわけではありませんので、山林だと新制度が利用できないというわけではありません。
もっとも、ブラックリストの中に以下の項目があります。
- 境界が明らかでないこと
- 所有名義が曖昧でないこと
山林の場合、次のような傾向があります。
- 境界が明確ではないことが多い
- 相続登記が未了で名義が先代・先祖のまま(死者名義)のことが多い
そのため、法律専門家の間では、山林を相続土地国庫帰属制度で手放すことは難しいといわれるのです。
しかし、本当にそうでしょうか?
以下、この点について深掘りしてみましょう。
多くの山林は境界が明確ではない点
土地の境界は、明治時代に行われた「地租改正」で定められたものが基礎になっています。
もっとも、
- 山林は「地租」(今でいう固定資産税)があまり見込めなかったこと
- 当時の測量技術が未熟だったこと
この2つの理由で、多くの山林では正確な測量が行われませんでした。
そこで、戦後、国土調査法が定められ、境界を正確に測りましょうということになりました。
しかし、戦後70年以上経っても、地籍調査は50%ほどしか終わっておらず、多くの土地の境界が明確になっていないという状況があります。
特に山林については、進捗率が46%で境界が不明確であることが多いといわれます(末尾参考資料参照)。
そのため、法律専門家の間では、山林を相続土地国庫帰属制度で手放すことは難しいといわれるのです。
もっとも、北海道、東北、九州など地域によっては地籍調査が進んでいるところもありますので、山林だから必ず相続土地国庫帰属制度が利用できないと考える必要はありません。

また、多くの専門家が誤解しているのですが、相続土地国庫帰属精度の利用の際に境界測量が必須なわけではありません。
国は、測量の実施や境界確認(お隣さんとの契約書)までは不要とし、土地の範囲を示せば足りるという方向で検討しています。
そのため、山林だから相続土地国庫帰属制度は利用できないと諦める必要は全くありません。
なお、自分の所有する山林の境界が明確なのか知りたいという場合、法務局で公図を取り寄せてください。
公図の「分類」という欄に「地図に準ずる図面」と書かれていれば境界の精度が悪い可能性が高いといえます。
具体的には、発行された地図・公図の「分類」という欄に「地図に準ずる図面」と書かれていれば境界の精度が悪い可能性が高いといえます。
他方で、「地図(法第14条第1項)」(地積調査等が終了済みという意味)と書かれていれば境界の精度が高いといえます。
なお、自分でうまくできるか自信がないという方は、弁護士の無料相談を申し込んでください。
弁護士の方で公図を取得した上で、境界の精度をチェックさせていただきます。
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多くの山林は相続登記が終わっていない点
山林を相続土地国庫帰属制度で手放すことが難しいといわれるもう一つの理由に「相続登記の未了」という問題があります。
相続土地国庫帰属制法では、「所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」は制度が利用できないとされています。
言い換えると、登記の名義が先代・先祖のままになっている場合、制度が利用できないということです。
そして、山林については、相続登記が終わっていない土地が多いといわれています。
法務省の調査によると、山林が多い中山間地域では26.6%の土地が最後の登記から50年以上経過している(≒相続が発生し相続登記が未了になっている可能性が高い)とのことです。
そのため、法律専門家の間では、山林を相続土地国庫帰属制度で手放すのは難しいといわれます。
しかし、逆に言えば、相続登記さえしてしまえば、この問題は解決するということです。
しかも、相続登記は2024年から義務化され、違反すると罰則(10万円以下の過料)があります。
そのため、相続登記が未了の場合に、相続土地国庫帰属制度の利用を諦めるのは問題を先送りにしているだけです。
相続登記を行って、不要な土地であれば、国に引き取ってもらう方向で検討することがよいといえます。
なお、相続登記の義務化や相続登記の手続について知りたい方は、弁護士の無料相談を申し込んでください。
弁護士の方で登記を取得した上で、相続登記の手続についてご案内させていただきます。
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実は山林は相続土地国庫帰属制度が利用しやすい?
相続土地国庫帰属制度を利用して国に山を引き取ってもらう際に、負担金というお金の支払が必要になります。
山林の場合、この負担金が他の土地(農地や宅地)よりも低く抑えられています。
そのため、負担金の観点から見ると、山林は相続土地国庫帰属制度が利用しやすい土地と言えます。
なお、自分が所有する山林を手放す場合の負担金を知りたいという方は、弁護士の無料相談を申し込んでください。
弁護士の方で簡易検討をした上で、負担金の概算をご案内させていただきます。
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最後に
いかがでしたか。今回は、山林だから相続土地国庫帰属制度は利用できないと諦める必要は全くないという点について解説させていただきました。
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弁護士 荒井達也
群馬弁護士会所属。負動産問題に注力する弁護士。読売新聞などの全国紙からの取材対応や専門書の出版等を通じて相続土地国庫帰属制度や負動産の処分方法を解説している。
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